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MFT(口腔筋機能療法)とは?トレーニング方法などを学んで歯科衛生士のスキルアップにも!

MFTアイキャッチ

Dキャリアプラス編集部です。

「マスク生活が続く中で口呼吸の癖がついてしまった」「口元の癖や見た目が気になる」などのご相談を患者さんから受けたことはないでしょうか。
口呼吸は口腔にさまざまな悪影響を及ぼします。ドライマウスや免疫力の低下、さらに子どもは成長期に口呼吸が癖になってしまうと、顎の成長に強く悪影響があるため、注意が必要です。

今回は、そんな口腔機能や歯並びにも関係する『MFT(口腔筋機能療法)』についてを紹介いたします。特に子どもに効果がありますが、大人でも美しい口元や口臭予防、嚥下機能のトレーニングになるため、参考にしてみてください。

 

MFT(口腔筋機能療法)とは?

MFTとは『Myo(筋)functional(機能)Therapy(療法)』の頭文字をとって略され、日本では「口腔筋機能療法」と訳されます。歯並びに関係している舌・唇・頬などの口腔周囲筋を、正常な環境に整えることが目的で、後天的な筋肉の不調和をトレーニングを通して整えていく療法となります。

例えば、歯の矯正治療を行なっても筋肉からの圧力がそのままの状態だと、歯が元の位置に戻ってしまいます。併せてMFTを取り入れることで正しい舌の位置や飲み込みが身に付きます。歯が元の位置に戻ることを防ぎ、矯正治療をより効果的に行うことが可能です。

また近年、表情筋の働きが美や健康に重要だということが一般の方にとっても当たり前になりつつあります。そういった背景からも口腔周囲筋をトレーニングできるMFT(口腔筋機能療法)は知っておくと、歯科衛生士としてのスキルアップにつなげることができます。

MFTトレーニングを行う女性

 

MFT(口腔筋機能療法)を行うメリットとは?

子どもは特に「歯並びや噛み合わせの改善」「矯正治療の後戻りが少なくなる」「発音が改善する」などのメリットが挙げられます。大人はMFTのみでは歯並びの改善が難しいこともありますが、他にもさまざまなメリットがあります。

  • 歯周病の改善
  • むし歯の予防
  • 口腔内の自浄作用の増進
  • ドライマウスの軽減
  • 高齢者の咀嚼嚥下機能低下の防止

マスク生活で衰えた口元の筋肉を鍛え、笑顔を作りやすくすることもできます。

不正咬合の原因になる口腔習癖

MFTなどのトレーニングを必要とする状態はどのようなものでしょうか。
まず、不正咬合は大まかに遺伝的要因環境的要因があります。環境的要因に含まれる口腔習癖は、日常生活で無意識に行なってしまう口の癖のことです。この状態が長期間続くと口腔内や唇のバランスが崩れ、歯並びや噛み合わせに悪影響を与えます。

症状

  • 吸指癖(きゅうしへき)
  • 咬唇癖(こうしんへき)
  • 吸唇癖(きゅうしんへき)
  • 咬爪癖(こうそうへき)
  • 舌突出癖(ぜつとっしゅつへき)
  • 口呼吸

これらの口腔習癖は子どもの成長過程などで多く表れる癖ですが、成人後も癖やストレスなどから続いてしまうことも珍しくありません。
成長過程で徐々にやめることができれば問題ありませんが、歯並びや日常生活に影響が出てしまうこともあるため、MFTのトレーニングで改善に取り組みます。

ご存じの方も復習として確認し、患者さんの診療に役立てましょう。

吸指癖(きゅうしへき)

指しゃぶり

子どもに多く見られる口腔習癖で、指しゃぶりともいわれます。
続けていると次のような不正咬合の原因になります。

  • 開咬(オープンバイト)
  • 上顎前突(出っ歯)
  • 交叉咬合

期間や回数、吸う強さ、指しゃぶりをしやすい顎の形をしていること(遺伝的要因)などによって個人差があります。指以外にも爪・タオル・おしゃぶりなどを噛んだりする癖も歯並びや顎の成長に悪い影響を与えます。

これらの癖は、4歳ごろまでに止めればあまり問題ないとされていますが、その時期を過ぎても続いてしまうと歯並び・顎の成長に影響を及ぼすことが考えられます。指しゃぶりは精神面との関わりが強く、癖をやめさせるにはタイミングや方法も大切です。
指導する際は、やめることの重要性だけでなく、精神面も配慮しながらお伝えするようにしましょう。

咬唇癖(こうしんへき)・吸唇癖(きゅうしんへき)

咬唇癖

唇を噛む・吸うなどの癖で、上顎前歯で下唇を噛む場合が多いです。下唇などを噛むことで歯が前に出る、もしくは、下の歯が圧迫されて内側にずれてしまうため、不正咬合の原因になってしまいます。

  • 上顎前突(出っ歯)
  • 過蓋咬合(ディープバイト)

子どもはストレスや指しゃぶりの代用として多く見られますが、大人もストレスや不安感、噛み合わせなどで習癖が残ることがあります。無理にやめさせるのではなく、MFTで楽しくトレーニングを行うことでの改善を促します。

舌突出癖(ぜつとっしゅつへき)

「舌突出癖」または「舌癖」と呼ばれる習慣は、舌を前に出したり、上下前歯の間に舌を挟んだり、裏側から舌で歯を押したりするものです。口呼吸や指しゃぶりを長く続けていると現れることが多い習癖です。

  • 開咬(オープンバイト)
  • 上顎前突(出っ歯)
  • 下顎前突(受け口)

これらの不正咬合の他にも、「さしすせそ」や「たちつてと」などがはっきり発音しづらくなる、食べる時に音をたててしまうなど、日常生活にも影響が出てしまうことも。
MFTで舌の筋肉を鍛える方法や、矯正治療での改善を図ります。

口呼吸

口呼吸

口呼吸は、お口を開けっ放しの状態が長時間続きます。それにより、常に下顎と舌の位置が下がっている状態になってしまい、お口の筋力や顎の成長に悪い影響を与えます。具体的には、顎の幅が狭くなったり、前歯が出やすくなるなどです。また口呼吸は、お口の中が乾燥して細菌が繁殖しやすくなり、むし歯や歯周病になりやすくなるだけでなく、体内に細菌が入りやすいので免疫力低下の原因にもなります。

最近では大人、子どもどちらも、マスクが原因で口呼吸になったという方が多くなっています。このような習慣的な口呼吸はMFTで改善されることもあります。

また、歯並びに問題があり口を上手に閉じられない場合は、矯正治療とMFTを併せて行うことでより効果があります。アレルギー性鼻炎や慢性的に鼻が詰まる「アデノイド(咽頭扁桃の肥大)」が口呼吸の原因の場合は、耳鼻咽喉科も併せて検討が必要です。

 

ダウンロードし、ご活用いただける口腔習癖のセルフチェックシートをご用意しました。

【口腔習癖セルフチェックシート(PDF)】
Dcareer_checksheet

口腔習癖セルフチェックシート

MFTのトレーニング方法

MFTのトレーニング方法には道具を活用するものや手軽にできるものなど、さまざまな種類、方法があります。トレーニング内容は患者さんの口腔状態、年齢、性格などに合わせて、歯科衛生士など指導者が選んで進めていくことが求められますので、正しい知識を身に付けましょう。

認定資格やセミナーなどの取り組みを行なっている歯科医院や学会があります。

「スマイルMFT」では歯科医療従事者向けなどにセミナーを開催、「日本口腔筋機能療法学会」では学術大会など、口腔筋機能療法の向上や技術進歩を図る取り組みを行なっていますので、併せて確認してください。

・スマイルMFT
https://smilemft.com/

・日本口腔筋機能療法学会
http://www.oralmyofunctional.info/

スポットポジション

リラックスしている時(口を閉じているとき)や、飲み込む時の舌の先の正しい位置を覚えます。
舌先が触れる位置をスポットと呼び、上の前歯の裏側の付け根から5〜10mmくらい後方くらいです。

 

①スティックでスポットを触り、5秒間押さえます。

スティックスポットポジション

②スティックを離し同じ場所を舌の先で触り、つけたまま5秒間。

スポットポジション

姿勢を良くして、鏡を見ながら①と②を交互に5〜10回行います。このとき、舌の両脇を締めて舌先をとがらせることを意識します。

 

ティップ

このトレーニングをすることで、舌先の力をつける目的があります。

①スティックを口の前に垂直に持つ。
②舌を前方に出し舌をとがらせ、舌とスティックの両方で3秒間押し合う。
③スティックを離し、力を抜いて口唇を閉じて休む。

ティップトレーニング

5~10回繰り返します。舌の先を丸めないで行うことと、しっかりと舌の先でスティックを押すように意識することがポイントです。

 

パタカラ体操

パタカラ体操はお口の筋肉を効果的に動かすことができるので、MFTのトレーニングの一つとして行うこともあります。トレーニング方法の詳細は「口腔体操で誤嚥予防!正しいパタカラ体操の取り入れ方、効果的な嚥下トレーニングを紹介」で解説しています。こちらもぜひご覧ください!

またDキャリアプラスでも、動画学習サービスの「口腔リハビリテーション」で口腔周囲筋のストレッチを紹介しています。

【動画学習サービス】
口腔リハビリテーション

まとめ 歯科衛生士とMFT

正しい舌の位置や動かし方、嚥下の仕方など、正しい機能を身に付けていただくように指導する方法は多岐にわたります。 お一人おひとり、できていることやできていないこと、口腔の状態、口腔習癖が異なるため、それぞれの患者さんに合わせた指導を見つけることは、歯科衛生士としてのスキルアップにもつながります。

MFTを行うと舌や口周りの筋肉のバランスが保たれるので、歯並びの改善や悪化を防ぐことが期待できます。また、マスク生活で意識が薄れていた口腔周囲筋を鍛える効果もあります。日々の診療やカウンセリングで、患者さんのニーズに寄り添って提案してみることも、歯科衛生士だからこそできることです。

Dキャリアプラスでは、復職や多様な働き方の相談、歯科衛生士としてスキルアップのためのさまざまなセミナー、学習コンテンツを提供しています。ぜひご活用ください。