フッ素が効かない?カンジダ菌とむし歯リスクの意外な関係
こんにちは。Dキャリアプラス編集部です。
みなさんは、むし歯の原因といえば「ミュータンス菌などの細菌」だと思っていませんか?実は、真菌であるカンジダ菌もむし歯に関与しているかもしれない………そんな最新研究が発表されましたので、紹介したいと思います。
目次
カンジダ菌に関する新たな研究発表
東北大学大学院歯学研究科に所属する髙橋信博教授らの研究グループは、口腔内でのカンジダ菌の役割に関する画期的な研究成果を発表しました。本研究では、カンジダ菌が嫌気環境下でも糖を分解し酸を産生できること、さらにはフッ化物による酸産生抑制効果をほとんど受けないことが明らかになりました。この発見は、従来むし歯の原因として注目されてきた細菌だけでなく、真菌であるカンジダ菌もむし歯進行に大きく関与する可能性を示しています。この研究成果は、むし歯の理解と予防策に新たな視点を提供し、注目されています。
[出典] 東北大学 プレスリリース 発表日:2025年03月27日
カンジダ菌とは?
カンジダ菌は真菌の一種であり、人間の体内や食品、さらには自然界にも広く存在する微生物です。その代表的な種類であるカンジダ・アルビカンスは、人間の健康な時には無害であり、通常は口腔内や腸内、皮膚などに共生しています。しかし、免疫力が低下したときや特定の環境条件下では増殖しやすくなり、感染症を引き起こす場合があります。
カンジダ菌の生息環境
カンジダ菌は、湿潤で温かい環境を好みます。
口腔内や腸内といった暗く湿った部位は、カンジダ菌にとって最適な生息地となります。
とくに糖の豊富な環境では、菌がエネルギー源として糖を利用するため、その増殖が助長される傾向にあります。
また、酸素環境への適応力も高く、好気だけでなく嫌気環境でも活動を続けられる特徴を持っています。この柔軟性が、カンジダ菌をむし歯リスクに関連付ける要因の一つとして考えられています。
人体におけるカンジダ菌の影響
通常、カンジダ菌は口腔内や腸内などの体内では、細菌や真菌と共存して存在しています。免疫系が正常に機能している場合には、共存の平衡状態が保たれていますが、健康状態の変化や生活習慣の影響で免疫力が低下すると、そのバランスが崩れることがあります。
口腔内で増殖した場合は、口腔カンジダ症と呼ばれる感染症を引き起こすことがあります。
カンジダ菌は、糖を分解して酸を産生する能力があるため、むし歯や歯周病へのリスクも指摘されています。
最近の東北大学の研究では、カンジダ菌が嫌気環境でも酸産生能力を持ち、むし歯リスクに寄与する可能性が明らかになりました。
【口腔カンジダ症】
カンジダ症は、介護が必要な高齢者やがん患者において多く見られます。これは、感染防御機能の低下に加え、経口摂取の制限や唾液分泌の減少による口腔の乾燥、口腔内の清浄度の低下、さらにはステロイドの使用など、さまざまな要因が影響しています。
また、カンジダは入れ歯のレジン(プラスチック)に住み着きます。入れ歯を使い始めるとカンジダが口の中での存在感を増してきます。入れ歯を使っている人はカンジダのケアが必要になるのです。
むし歯リスクとの関係
カンジダ菌は、普段は酸素が十分にある好気環境で増殖する傾向が強いことで知られています。しかし、最近の東北大学を中心とした研究により、カンジダ菌が嫌気環境でも活動し、酸を産生する能力を持つことが明らかになり、この特性はむし歯形成の新たな要因として注目されています。
むし歯原因菌との共存と相互作用
むし歯の主な原因として知られるのは細菌ですが、カンジダ菌もむし歯のリスクに関与することが推測されています。
研究によると、カンジダ菌が細菌と共存した環境では、互いの代謝活動が相互作用を及ぼし合い、環境全体がむし歯に対してより有利な状態を作り出す場合があります。
カンジダ菌が生成した酸が細菌の活動をさらに活性化させ、歯の表面が劣化しやすくなると考えられています。
酸産生性がむし歯に及ぼす影響
カンジダ菌の酸産生性は、むし歯形成のカギとなる要因です。口腔内で糖を分解し、酸を供給する能力を持つカンジダ菌は、歯のエナメル質を溶かすリスクを高めます。
さらに、カンジダ菌にはフッ化物による酸産生の抑制効果がほとんど作用しない点など、従来のむし歯予防策では対応できないことも課題となっています。
今後は、フッ化物ベースのむし歯予防策では対処しきれないリスクに対応するための新しい治療法や製品の開発が期待されます。
まとめ
今回の東北大学の研究により、カンジダ菌がむし歯に関与している可能性や、フッ化物を菌体内に取り込みにくい仕組みを持っている可能性が明らかになりました。従来のフッ化物を基にした「むし歯予防策」では対処しきれないリスクに対応するため、新しい治療法や製品の開発が期待されています。日常的な口腔ケアや、栄養バランスの取れた食事、良好な睡眠を通じて身体の環境を整えることが重要です。
歯科衛生士として、患者さん一人ひとりに寄り添い、最新の知識をもとに適切な口腔ケア指導を行いましょう。
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