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口腔内スキャナを使いこなしている人はどう使いこなしているのか?

 

口腔内スキャナコラムタイトル

こんにちは。Dキャリアプラス運営事務局です。

今回は、愛知学院大学歯学部同窓会愛知県支部令和5年度歯科医師・技工士合同セミナー(2024年1月開催)に参加したスタッフからの受講報告をコラムとして紹介したいと思います。

口腔内スキャナについて理解できている!?

近年、多くの歯科医院で導入されるようになり、すでに使用している方も多いかもしれません。
皆さんは口腔内スキャナについてどれほど理解しているでしょうか?

令和6年度の診療報酬改定では光学印象を使ったCAD/CAMインレーが保険収載され、口腔内スキャナの使用を検討される歯科診療所も多くなるのではないかと思います。
そんなホットな話題である口腔内スキャナに関する講演が愛知学院大学で開催され、参加してきましたのでみなさんに共有いたします。

【テーマ】口腔内スキャナ、使いこなしている人はどう使いこなしているのか

【講師】

  • 古澤 清己(ふるさわ きよみ)先生
    歯科技工士/合同会社CAD LABO JAPAN(長野県)/HATSUKUL講師
  • 竹内 真人(たけうち まさと)先生
    デンチュリスト/Oak Bay DENTURE Clinic(カナダ)/ HATSUKUL講師

 

口腔内スキャナを使いこなしている人はどう使いこなしているのか?

歯科業界以外での「CAD/CAMの活用例」や、口腔内スキャナを使いこなす上で必須となる「CAD/CAMの基礎知識」、「口腔内スキャナの基本的な使い方」。また「クラウンブリッジ系での使用方法」や「義歯作製への応用方法」、「口腔内スキャナの意外な活用方法」など、基礎の「基礎」について解説されました。

機械の特性を理解していなければ、精度がよくても適合がよいものはつくれない

口腔内スキャナを理解するためには、最終的に補綴物の作製に関わるCAD/CAMについて理解する必要があります。

CAD/CAMとは、設計されたものを工作機械で加工するためのシステム。身の回りのものから文化財修復まで、あらゆる場所やものに使われており、すでに特別なものではありません。CAD/CAMが普及したことで設計・工作精度が飛躍的に向上しました。
CAMでは削る、積層、放電加工等、さまざまな出力や加工方法があります。歯科のクラウンブリッジ系では現在、3Dプリンタでは口腔内で使える材料が研究段階でまだ少ないため、「削る」という加工方法であるミリングマシンが主流です。

工業界ではすでに精度は当然ですが、精度=適合ではありません。
歯科では人の手で削った支台歯形成の面に対して、機械でミリングしたものを合わせる特殊な状況です。機械の特性を理解してなければ、精度がよくても適合がよいものはつくれません。

例えば、CAD/CAM冠の支台歯形成の角は鋭角ではなく、鈍角でないといけません。その理由はバーの削りで表現可能な面には限界があるからです。
また、歯科のCAD/CAM特有のものとして、セメントギャップや最低厚みの設定があります。支台歯の角が鋭角であったり、維持孔があり縁が鋭角であるとその部分を大きくよけて丸くセメントスペースを確保してしまい、厚みが均一でなくなり、疲労がたまりやすくなることで破折につながってしまうことも考えられます。

口腔内スキャナが普及し模型がなくなる?

模型口腔内スキャナが普及するとクラウン系では、チェアサイドとラボサイドの双方のゴールとなっていた模型がなくなってしまいます。
ミリングが機械でできたとしても、最後の微調整は人の手になります。ラボサイドで技工士が模型に合うように調整していた時間が無くなる代わりにチェアサイドでの歯科医師の調整に膨大な時間がかかるようになる可能性があります。
調整を施したとしても適合が悪く、再製になってしまう可能性もあります。模型レスになりよいこともありますが、こういった弊害も起こってしまう可能性も考えられるため、導入するためには対策も講じる必要があるかもしれません。

そんな使い方まで!口腔内スキャナの意外な活用方法

口腔内スキャナは、ただ単に印象採得や咬合採得がアナログではなく、デジタルでできるようになる機器だと考える方は多いのではないでしょうか。
実は使い方を工夫することで、デジタルインプレッション以外に活用することができます。
デジタルインプレッション以外に活用できそうだと知れば、導入検討のきっかけになるのではないでしょうか。

【活用事例】患者さんとのコミュニケーションツールとして活用

歯磨き指導口腔内スキャナでとった画像は、歯磨き指導等の患者教育の補助資料として最適かもしれません。
口腔内スキャナを用いることで、口腔内の状況をすぐに画像で確認することができます。「口腔内の見える化」が行われることで、歯磨き指導や歯周病の経過観察、咬合診断、治療計画の説明や経時変化の確認をわかりやすく患者さんに提示することが可能になります。
歯磨き指導では舌側面も客観的に見ることができるため、より患者さんにとってわかりやすいものになるでしょう。口頭での説明では分かりにくく、理解が追いつかない患者さんも、画像と共に説明を受ければ理解が深まります。
また、患者さんへの説明時の情報提供力アップやデジタルデータの保管や情報管理がクラウドで管理でき、デジタル機器を導入していることによる他歯科医院との差別化など、患者さんが歯科医院を選んで通ってくれるきっかけになるかもしれません。

歯磨き指導にも使えるとの話を聞き、なるほどたしかにと思いました。会場からも同じように驚きや感心の声が聞こえてきていました

口腔内スキャナは「絶対に必要不可欠なツール」ではない

このような口腔内スキャナの良さや魅力を知ってしまうと、どの歯科診療所も導入したほうがよいのではないかと考える方も多いと思います。
しかし、必要不可欠なツールではありません。口腔内スキャナの利用の「是非」は、便利さと使用頻度によります。導入したら終わりではなく、慣れるまで時間もかかりますし、もちろん練習も必要です。

知らずに使うと不適合な技工物が8割に!?

古澤講師は、使い方を知らずに使って口腔内スキャナが普及すると、技工物の8割が不適合になると警鐘をならしています。口腔内スキャナを使いこなすためには口腔内スキャナの特性を知ること、練習をすることが大切です。
さらに、その後の補綴物がどのように作製されるのか、CAD/CAMの知識も必要になってきます。

まとめ

ますます導入が進むと考えられる「口腔内スキャナ」。口腔衛生指導や患者へのカウンセリングに取り組む歯科診療所が増えそうです。
日々の診療に欠かせないアイテムになる日のために、口腔内スキャナやCAD/CAMについての知識や技術をしっかりと習得しておきしましょう。