コラム

Dキャリアプラス

歯科衛生士のカウンセリング業務の重要性と気をつけたい4つのポイント

歯科衛生士・歯科助手のカウンセリングのポイント

Dキャリアプラス編集部です。

歯科衛生士や歯科助手が担当することも多い「カウンセリング」は歯科医院において重要な役割を担っています。
患者さんにとって、歯科医院の治療に不安はつきものです。そのため、カウンセリングは患者さんの主訴、悩み、不安を聞き出し、それらを解消できるように十分な説明を行い、治療に必要な知識を伝える大切な業務です。

この記事では、カウンセリングが重要な理由や実際にカウンセリングを行う際のポイントをご紹介します!

 

カウンセリングが重要な理由

数多くある歯科医院のなかで選び、来院してくれた患者さんのお悩みを解消してあげたい。継続的に通っていただき、ご自身の歯を長持ちさせてあげたい、と思いますよね。そのためには、カウンセリングがとても重要になってきます。

患者さんとの関係を構築できる

適切なカウンセリングは患者さんと歯科医院の信頼関係を構築する際に役立ちます。
信頼関係が築けると治療へのネガティブなイメージが軽減され、治療に対し協力的になってもらえるなどの効果があり、治療を途中で中断してしまう方を減らすことができます。

また、患者さんの歯に対する意識も高まり、治療後のメンテナンスにも通っていただきやすくなります。

トラブル防止につながる

カウンセリングが不十分だと「患者さんに説明したつもりが伝わっていなかった」ということも起きてしまいます。

患者さんは不安や緊張を感じながら、口腔内のお悩みを解消するために歯科医院に来ています。
歯科衛生士などのカウンセリング担当者は説明をしたつもりでも、患者さんに伝わる説明をしなければ、「説明が不十分なのに治療を進められた」「勝手に歯を削られた」などのトラブルへ発展してしまうことも。
また、カウンセリング時には「歯みがきが足りない」「生活習慣が良くない」などの患者さんのことを否定するような言い方にならないよう気を付けましょう。

 

歯科医院の提案と患者さんの要望は必ずしも同じとは限りません。カウンセリングで患者さんの具体的な悩みや要望、患者さんご自身についてをお聞きしましょう。そして、お聞きした内容を踏まえて説明をすることで、患者さんも納得して治療を進めることができます。

カウセリングを行う際のポイント

では、実際にカウンセリングを行う場合、どのような箇所に気をつけたらいいのか、4つのポイントをご紹介します。
ご自身がすでに取り組んでいる方法があれば、ご紹介するポイントにも気を付けて、より良いカウンセリングにしてください。

事前準備をする

患者さんの様子を見ましょう

まずは患者さんの様子から情報を得ましょう。患者さんは主訴以外にも、性格やご状況など一人ひとり異なります。

  • 受付などの応対時の様子はどうか
  • 落ち着いているか、不安そうにしているか
  • 痛そうにしているか、体調はどう見えるか

観察し、あらかじめ患者さんと話す内容や声のトーンなどを考えておくことで、心の準備にもなり、スムーズにカウンセリングを始めることができます。

患者さんの問診票を見ましょう

問診票はカウンセリングの前に目を通して、確認する点をまとめておくのもおすすめです。

  • 自覚している主訴、いつごろから気になっているのか
  • 生活習慣やセルフケア
  • 要望(早く治療してほしい、痛くしないでほしい)など

歯科医院ごとに問診票はさまざまですが、患者さんが歯科医院へ何を期待しているか、何をされたら不満を感じるかをあらかじめ知っておくことで今後の対応に反映できます。また、「こちらの問診票には○○とありますが…」のように、問診票の内容を一読しているとわかるような問いかけを心がけましょう。

患者さんの話を聞く

患者さんは不安な気持ちをお持ちだったり、歯科医院は怖いところだと思い緊張していることがあります。
カウンセリングで大切なのは、不安や緊張に寄り添って患者さんの話をしっかりと聞くことです。まずは明るく笑顔で挨拶をしてからカウンセリングを始めると、患者さんもリラックスして話しやすくなります。

会話をする際には、話を聞いていると伝えるために「大変でしたね」などの共感を示す言葉を用いながら、優しくあいづちを打つことを意識しましょう。

また、歯科医師には話しづらいことも、歯科衛生士になら話しやすいという患者さんも多いため、費用や期間、治療方法など、患者さんが何に重点を置いているのかをお聞きしましょう。そして、患者さんが気にしている部分などは歯科医院内で共有しておくことが大切です。

専門用語を避けて、わかりやすく説明する

歯科業界の専門職同士であれば専門用語も伝わります。

しかし、歯科衛生士にはわかりやすい言葉でも、患者さんにとっては難しくてわからないことがほとんどです。
わからないため聞き流してしまうことや、専門的で質問ができず納得に至らないため、治療に前向きになれないと感じる患者さんもいます。

専門用語は避けて、患者さんにわかりやすい説明を心がけましょう。資料などを使って説明をすると、よりわかりやすくなります。

選択肢、メリットデメリットを伝える

治療の選択肢がいくつかある場合は、それぞれの治療方法について、特徴などを比較しながら説明をしましょう。
そして、「専門用語を避けて、わかりやすく」メリットデメリットもお伝えします。

メリットだけではなくデメリットまでお伝えすると、きちんと説明してくれたと感じ、患者さんの満足度も上がります。

カウンセリングスキル向上のメリット

「カウンセリング」は担当者自身の意識や、練習などで上達させることが可能です。歯科衛生士、歯科助手向けのカウンセリングについて学べるセミナーや認定資格講座もあります。
カウンセリングのスキル向上は医院全体のモチベーションや業務効率の改善、ご自身のキャリアアップとしても有効な方法です。

自費率を上げることができる

カウンセリングは自費率の向上に欠かせないものです。しかし、カウンセリングを行う担当者が、自費診療を売り上げ目的と捉えてしまっていては、患者さんにもそれが伝わり、なかなか自費診療につながりません。
患者さんの中にはしっかりと説明を受けると、高くてもキレイに見えたほうがいいという方、安全性の高い素材にしたいという方もいらっしゃいます。

自費診療は歯をキレイに見せたり、長持ちさせることができる「患者さんのことを考えた」診療方法の一つであることを、まずは医院全体でもしっかりと共通認識を持ち、カウンセリングを行うことが大切です。

カウンセリングの資格を取得しキャリアアップする

カウンセリングの専門知識や技術を証明する「TC(トリートメント・コーディネーター)」という認定資格もあり、「日本歯科TC協会(JADTC)」「 TCマスターカレッジ」などで取得ができます。

たとえば日本歯科TC協会(JADTC)では、TC資格認定制度は歯科医院にとって必要不可欠な「患者コミュニケーション」「最新治療、最新予防」「医院経営」についての講習会及び認定試験を行う制度、と説明があります。

(引用)日本歯科TC協会「トリートメントコーディネーター®とは」

トリートメント・コーディネーターについて詳しく説明した記事も公開していますので、併せて参考にしてみてください。

まとめ

患者さんに寄り添って、丁寧に説明するカウンセリングはトラブル防止や信頼関係の構築、自費率向上などさまざまなメリットがあります。

患者さんの満足度向上のため、また自分自身のスキルアップのためにも、この記事を参考にカウンセリングに取り組んでみてくださいね。

また、Dキャリアプラスではコミュニケーションスキル向上を図ることができる、接遇マナーセミナーも行なっています。歯科衛生士の目標や課題に応じた最適な教育カリキュラムをご提案します。

詳しくはこちらをご覧ください