基礎知識と実技を学ぶ、歯科衛生士のための「口腔咽頭吸引実技研修」開催レポート
Dキャリアプラスでは今年春から、対面セミナーに力を入れています。
今回は、DSアカデミー受講者からの「咽頭吸引を学びたい」とのご要望があり、対面で行う「口腔咽頭吸引実技研修」を企画しました。
2024年4月29日(月・祝)、東京で開催した様子をご紹介したいと思います。
目次
開催レポート
講師紹介
歯科衛生士・新東京歯科衛生士学校 教務
所属学会:日本摂食嚥下リハビリテーション学会
【経歴】
新東京歯科衛生士学校卒業
一般外来を経験後、訪問歯科を中心に従事し、経験を積んだのち、歯科クリニックなどで口腔ケアや摂食・嚥下機能に関する講習会を実施。
専門学校などでの講師を経験し、現在は新東京歯科衛生士学校で専任教員。
口腔咽頭吸引実技研修
歯科衛生士は歯科診療補助としての「口腔咽頭吸引」が認められています。
しかし、知識や実技の習得の機会がないことから、自信をもって行えない現状があります。また、口腔咽頭吸引を実施するためには、解剖や生理学についての知識が必要となります。
このような基礎知識を学んだ上で、吸引練習用の人形とカテーテルを使った吸引の練習を行います。
セミナーの様子について
口腔・鼻腔咽頭吸引についての基礎を学びました
吸引とは?
痰や唾液、鼻汁などの喀痰を自分の力だけでは十分に出せない場合に、器械を使って出す手伝いをすることです。吸引は、ご本人さまにとって決して楽なものではありません。
しかし、喀痰を除去することで呼吸を楽にし、肺炎などの感染症のリスクを下げるために必要なことです。
喀痰とは?
喀痰は主に咳をしたときに喉のほうから出てくる粘液状のものですが、一言で痰といってもいろいろな性状があります。
気道には分泌液が出ていて、いつでも濡れた状態にしています。この分泌物はウイルスや細菌、異物などが気道に入ると量が増え、病原体をくるんで外に押し出しやすくしています。気道の表面は肺から喉へ向かって常に細かく運動しており、分泌液にくるまれた老廃物や小さな外気のごみ、病原体がその運動によって喉、そして口から外へ排出されます。これが喀痰です。
【喀痰】
- 唾液
- 鼻汁
- 喀痰(狭義の喀痰):肺や気管から排出される老廃物や小さな外気のごみ、病原体を含んだ粘液
[参考] 公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット/喀痰・咳嗽
どんなときに吸引を行うのか?
口腔ケアの際に、下記のような症状があれば「吸引」を検討します。必要なタイミングはそれぞれ異なります。
- ご本人さまが息苦しさを訴え吸引を希望されるとき
- 唾液・痰がたまってゴロゴロした音がするとき
- 呼吸時にゼーゼーしていたり異物の音がするときなど
さらに座学で「吸引が必要な病態や病気」「吸引時に起こりうる合併症」「救急対応」について、「口腔・鼻腔・咽頭の解剖」や「吸引時の必要物品」などについて学びました。
受講者アンケートより
- オブラートを実際に吸引させてもらえたので、より実践的なセミナーを受けさせていただけて良かったです。
- 実際に実技をさせていただいたことで感覚が知れて良かったです。現場で行う機会は少ないと思いますが参加して良かったです。
- 在宅で吸引を必要としている場合があり、できるように実践したいと思います。
- 解剖をもっと勉強したいと思いました。
- 体験させていただいたこと、やりながら教えてもらえたので理解しやすかったです。
- たくさん知りたいことが聞けて良かったです。
- 久しぶりの対面セミナーで楽しかったです。
- 吸引の実践、模型でもとても分かりやすかった。
- 実際に訪問の現場などでおこなったこともみたこともなかったので、実技・練習できて大変勉強になりました。
などの感想をいただきました。
Dキャリアプラス代表城のコメント
咽頭吸引は、歯科衛生士であれば診療補助として実施することができます。しかし、その実技や詳細を歯科衛生士学校などのカリキュラムの中で学ぶことは、難しいのが現状です。超高齢社会である日本は、外来においても全身疾患を抱えた高齢の患者さまが増加しています。
また、訪問歯科診療では口腔ケアや摂食嚥下に携わるために、全身状態の管理やリスク管理として「咽頭吸引の知識と実技経験」が必須となってきています。
とくに口腔、鼻腔、咽頭の解剖の正しい理解が、安全な吸引に結び付くと感じた受講者の方が多かったと思います。今後も歯科衛生士が働く現場に必要な知識や技術の習得ができるように、研修の企画をしていきますので、ぜひご受講ください。
Dキャリアプラス運営事務局より
受講していただいたみなさん、お疲れさまでした。吸引練習用の人形を使用して実践的な研修となりました。
今回学んだことを業務に活かしていただければ幸いです。
これからは定期的に「口腔咽頭吸引実技研修」を開催いたします。これから学んでみたい方も、もう一度復習したいといった方も大歓迎です。
次回開催は夏頃を予定しています。