カウンセリングに役立つトリートメント・コーディネーター資格とは?
Dキャリアプラス編集部です。
歯科業界では「カウンセリング」の重要性が認知され、治療を始める前に患者さん一人ひとりにカウンセリングを行うTC(トリートメント・コーディネーター)を導入している歯科医院も増えました。TC業務の多くは歯科衛生士や歯科助手が担っており、重要な任務だとわかっていても、「どうコミュニケーションを取ればいいのかわからない」「苦手」と、お困りの方も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、歯科医院のカウンセリングにおいて注目の「TC(トリートメント・コーディネーター)」の役割、また資格取得の方法などについて、ご紹介します。
目次
TC(トリートメント・コーディネーター)とは?
すでに資格取得した方やご存じの方も多いと思いますが、改めて「トリートメント・コーディネーター」について解説したいと思います。
トリートメント・コーディネーターは、Treatment Coordinatorを略して「TC」とも呼ばれる「歯科治療コーディネーター」のことです。
欧米では歯科領域において確立された名称で、アメリカなどでは歯科医師から提案された治療についての
- 治療方針を患者さんに説明する
- その他の治療についての相談を受ける
- 支払いに関するファイナンス計画を立てる
などを行います。
日本では歯科医院によって呼び方が違ったり、役割の幅が異なる場合がありますが、資格認定を行なっている日本歯科TC協会では下記のようなTC人材像を挙げています。
- 患者コミュニケーションの専門家として、高付加価値提案ができる人材
- 予防や最新治療についての知識を備えた人材
- 歯科医院院長の片腕として経営に参画し、経営面において活躍ができる人材
(参考)日本歯科TC協会「トリートメントコーディネーター®とは」より
TCを目指すための方法
TCは資格がなくてもできる業務ですが、「コミュニケーションスキル」をはじめとするTCに必要な知識や技能を深め、認定試験を受けて「資格」を取る方法をお伝えします。
TCの資格認定は、歯科衛生士だけでなく、歯科助手・歯科受付など、歯科医療関連業務に携わっている人であれば受講・受験できる点も大きなポイント。
歯科衛生士として次のステージを目指す方、無資格で不安を抱えている歯科助手・受付の方に、キャリア・スキルアップ方法として有効な民間の資格・検定です。
ここでは、資格認定を行なっている2つの協会について、その特徴や資格取得方法などをご紹介します。
1.日本歯科TC協会(JADTC)
日本歯科TC協会は、「TCトリートメントコーディネーター」を養成する団体として、2009年に設立されました。
歯科衛生士や歯科助手を中心とした歯科医療関連従事者並びに、歯科医院経営者への研修・講習の実施を通して、患者さんに対する質の高い医療サービスの提供や経営マネジメント能力の養成を図ることを主な目的としている団体です。
トリートメントコーディネーター®資格認定制度について
日本歯科TC協会が実施するTC資格認定は、歯科医院にとって必要不可欠な「患者コミュニケーション」「最新治療・最新予防」「医院経営」についての講習会及び認定試験を行う制度です。
【特徴①】6つのCを題材とした6科目
TC資格認定制度は、生涯学習をテーマとしたクラスアップ資格制度。各々のキャリアプランにあった継続的な学習が可能です。
下の表にある「6つのC」を題材とした「6科目の認定講習・認定試験」を受講・受験し、一流のトリートメントコーディネーターを目指します。
【特徴②】4つのクラスからなるクラスアップ資格
Activity Leader からMasterまで1クラスずつ、段階を踏んで上級クラスを目指します。
Advanced InstructorやMasterといった上級資格者は、協会のインストラクターとして経験を積むことができるようになります。
まずは「Activity Leader クラス」からスタート
Activity Leaderクラスは、TC資格認定制度のスタートライン。資格取得のためには、トリートメントコーディネーターとしての心得、基礎知識の講習を受け、論文試験に合格する必要があります。
【Activity Leaderクラス(1日講習)】
- ● 受講・受験資格要件
- 歯科医院に勤務していること、または歯科医療関連業務に従事している者(DH・DA・Drなど)
- ● 認定試験
- 論文試験 約40分 ※認定講習会後に実施
- ● 認定講習
- 認定試験5~6時間(1日講習)
- ● 認定講習受験費
- 講習会参加費:12,100円 受験費:6,600円 テキスト代:2,970円(未購入の場合)
※正会員および施設会員所属の方は受験費無料
- ● 資格登録費用
- 10,000円 (資格更新費用:10,000円/5年ごと)
- ● 認定資格者特典
-
- 認定資格証明書、IDカード、ピンバッジ(TC一般用)の授与
- トリートメントコーディネーター認定資格者であることを証明するロゴマークの使用許可
- 特別セミナーや研修等への招待、または特別優待
- 奨学支援制度の適用(正会員の方のみ)
- ◆ 会員制度
- 会員メリットが得られる制度があり、個人を対象とした「正会員」、一般歯科診療所や歯科大学病院等の施設を対象とした「施設会員」
※会員制度についてはこちら
日本歯科TC協会について
【日本歯科TC協会】
【認定講習スケジュール】
2.日本歯科厚生協会(JDWO)・TCマスターカレッジ
一般社団法人日本歯科厚生協会(JDWO)が運営する、現役TCによるTCのための「カリスマTC」を目指す少人数制スクール。臨床現場を学ぶことを中心とした内容が特徴です。
TCマスターカレッジ®︎が目指す「カリスマTC」とは
自費診療の患者さんを増やし医院の売り上げアップをすることが、真の「カリスマTC」ではありません。
TCマスターカレッジが考えるカリスマTCは
- 患者さんに現状を理解していただき、それに対する理想の対処法を提案することで悩みや不安を希望に変えることができる
- 患者さん・医院の双方にとって良い結果をもたらすことができる(Win Winになる)、その役割を担う
ことがカリスマTCであると考えています。
※TCマスターカレッジ「カリスマTCとは」ページより抜粋
【TCマスターカレッジ®︎6つの特徴】
- 臨床現場のカウンセリングを学ぶ
- 講師はすべてカウンセリング1,000人以上経験者のみ
- 少人数制のマンツーマン型スクール
- 現役TCの成功ノウハウを共有できる
- 誰もが同じ方法にしたがって行えば同じ結果が得られる
- 試験合格後には協会の認定証を発行
TCの資格「カリスマTC」を取得する
「カリスマTC」を育成するためのカリキュラムがレベル別で用意されています。
TCマスターカレッジでTCの資格を取得する場合は「TCレギュラーコース」を受講します。
【TCレギュラーコース、カリキュラムは全5回】
4,000人を超えるカウンセリングの経験、臨床知識、心理学理論に基づいたカウンセリング方法が学べる、本気でTCを目指す人のためのコース。
- ● コース概要(全5回・認定制度)
- TC業務の概要から、歯科医院の経営についてなど。
初診カウンセリング・セカンドカウンセリング・ファイナルカウンセリングといった段階別にカウンセリングを解説。
補綴・ホワイトニング・矯正カウンセリングなど、実践的な内容を学びます。
ロールプレイや事例紹介、ケース症例として講師と患者さんの実際の会話音声を聞くなど、即実践できるテクニックをレクチャー。
コース5回目に行われる認定試験に合格すると、カリスマTCの資格が授与されます。
- ● 会場
- TCレギュラーコースの会場は、大阪本校・福岡校・東京校の3つ。
- ● 受講対象者
- TCカレッジのコースはすべて、TC・歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士・歯科助手・歯科受付・管理栄養士等全職種の方が受講可能。
- ● 受講費
- 費用は349,800円(税込・昼食費・模型代・資料費込)。
同じ歯科医院のスタッフが2名以上同時に受講する場合は、一人あたり294,800円(税込)で受講可能。
TCカレッジでは「1dayセミナー」や「ベーシックコース」なども開催しています。
※上記は「レギュラーコース」について「コース紹介」ページより抜粋
日本歯科厚生協会・TCカレッジについて
【日本歯科厚生協会】
【TCカレッジ】
【認定講習スケジュール】
まとめ
コミュニケーションスキルを高め、カウンセリングや説明の責任者として活躍できるTC(トリートメント・コーディネーター)。
歯科医院での業務について知識や技能を深め、TC資格の取得で自信がつくことは、働く上で大きなモチベーションにつながります。
TCとして患者さんと歯科医院のかけ橋となり「医院のこだわりや魅力を伝える」「患者さんにとって最良の治療計画を提案する」など、大きなやりがいを得られるでしょう。
TCを導入している歯科医院では、医院が資格取得の補助制度を設けていることが多く、求人情報に掲載している場合があります。転職を考えている方は注目してみてください。
また、TCの資格を持っていることは、転職や就職の際にもプラスの要素となることは間違いありません。ますます重要な業務となる「TC」、資格取得にチャレンジしてみませんか?
《関連記事紹介》
歯科衛生愛・歯科助手のカウンセリング業務についての記事も公開していますので、併せて参考にしてみてください。
Dキャリアプラスでは、TC業務にも必要な「接遇マナー」をはじめとする「院内研修セミナー」も行なっています。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。