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「聴覚機能の衰え」についての知識をアップデート!難聴とフレイルの関係とは?

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みなさんは「聴覚機能の衰え」について、どのくらいご存じでしょうか?
日本では超高齢社会に伴い、加齢性の難聴者数も増加傾向であり、1420万人と推計されています。
また、WHO(世界保健機関)の世界聴覚報告書によると、2050年までに世界で約25億人(4人に1人)が難聴を抱えて生活するだろうとしています。

とくに難聴は認知症の危険因子の一つともされているため、高齢者の健康寿命を縮める要因となりえます。
今回は、加齢に伴う聴力の変化や「難聴」について解説したいと思います。

 
 

聴覚機能の衰えとは?聴力の低下は40代から始まる

聴覚機能が低下し、音を聞きとりにくくなる状態が「難聴」です。
この状態は、軽度から重度までさまざまなレベルがあり、原因もいくつかあります。
加齢による聴覚細胞の劣化、騒音環境での長時間の生活、耳の病気や感染症、さらには遺伝的要因などが挙げられます。加齢による聴覚低下は「加齢性難聴(老年性難聴)」とも呼ばれ、歳をとるとともに誰にでも起こり得る現象です。
一般的に40代から50代にかけて聴力の低下が始まるとされていて「高音域」から始まり、徐々に聴こえにくい音域が広がっていきます。
難聴が進行すると、社会的なつながりが希薄になり、精神的な孤立感が生じ、その結果として「フレイル」が進行する可能性も高まるとされています。
 
 

聞こえのしくみ

人間の耳は大きく分けて「外耳」「中耳」「内耳」の3つの部分から成り立っています。
耳介から入った音は鼓膜を振動させ、その振動がツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨を経て内耳に伝わり、 内耳で音の振動を電気信号に変換し、脳に送られ音として感じるようになります。
「難聴」は、耳から脳までのどの部位に原因があるかで、種類や程度が違ってきます。

聞こえのしくみイラスト
[出典] 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会「聞こえのしくみ」 
 
 

難聴の種類と程度分類について

難聴の種類:原因によって大きく4つに分類される

1.伝音難聴:小さな音が聞き取れない

「音を伝える部位(外耳~中耳)」に問題が起きている状態。
(例)「耳垢塞栓(耳垢が詰まる)」、炎症が起きる「外耳炎」「中耳炎」など。

2.感音難聴:音を認識するものの聞き取ることが難しい

「音の判別をする部位(内耳部分の蝸牛や蝸牛内部の有毛細胞や聴神経など)」に問題が起こり、音を認識するものの聞き取ることが難しくなる状態。
(例)メニエール病や薬剤使用による内耳障害、先天性小児難聴、突発性難聴、音響外傷、加齢性難聴など。

3.混合難聴:感音難聴と伝音難聴の2つの症状が合併している

「音を伝える部位」と「音を判別する部位」の双方に問題が起きている状態。どちらか一方の症状があったものの、治療が遅れたり悪化したりすることで、他方の症状も出現して混合難聴になってしまうケースです。

4.機能性難聴:検査をしても原因が特定できず、耳の聞こえが悪くなっている

ストレスなど心因的要因による難聴で、耳の聞こえ以外にも「耳鳴り」や「耳の痛み」「めまい」などの症状が現れることもあります。特に小学校低学年から中学校の女児に多く、最近では成人の患者も増えているといわれています。

難聴の種類

 

難聴の程度分類

60代になると「軽度難聴」レベルまで聴力が低下することもあり、聞こえが悪くなったことを感じる人が増えてきます。
さらに70歳をこえると、聴力が「軽度難聴」から「中等度難聴」レベルまで低下するといわれています。
難聴の程度分類について

 

聴力の低下を予防する

加齢による聴覚機能の低下である「加齢性難聴」では、早期から補聴器などを使って「聞こえ」を改善することが大切です。
また聴力の低下は、生活習慣と大きな関係があるため、難聴を改善するには生活習慣の見直しが欠かせません。
以下に注意して、耳にやさしい生活を心がけましょう。

  • テレビや音楽は大音量で聴かない
  • 騒音など大きな音が常時出ている場所を避ける
  • バランスのよい食事を摂る
  • 適度な運動をする
  • 禁煙する
  • 十分な睡眠をとる
  • ストレスをためない

 

【知識をアップデート】ヒアリングフレイル®という新しい概念

みなさんは「ヒアリングフレイル」という言葉はご存じですか?最近、耳にする機会も増えてきました。
そこで、ここからは「ヒアリングフレイル」について、ご紹介したいと思います。

「ヒアリングフレイル」とは、聴覚機能の低下による身体の衰え(フレイル)の一つを示し、「聴覚機能の衰え」つまり難聴を意味するとともに、難聴によって周囲の関わり合いが大きく変化し、フレイルに陥ってしまったり、フレイル傾向となってしまうことを含んでいます。

周囲が聴力の低下に気づかず、この状態を放置するとその他のフレイルと同様に心身の活力の衰えが進み、認知症やうつ病となるリスクが高まることが懸念されています。
聴覚機能の低下が認知症診断結果の過小評価に繋がる可能性などをわかりやすく伝えるために、2018年に東京大学名誉教授/一般社団法人高齢者社会共創センター センター長である秋山弘子先生の協力の元、聴脳科学総合研究所 中石所長により示された新しい概念です。

聴力低下による影響とは?

ヒアリングフレイル啓発公式サイトでは、ヒアリングフレイルの特徴と「認知機能の過小評価」について以下のように紹介しています。

「ヒアリングフレイル」は、聴覚機能の低下によりコミュニケーションがうまくいかないことなどがきっかけで「作業記憶の低下」「言語疎通性の低下」「聴力低下の自身の無自覚」が顕在化していることが起因し、家族や医療従事者、介護従事者などから「認知機能の過小評価」を受けていることもあります。
これらを正しく理解し、早めに聴覚機能の低下に気づき、適切な対応をすることで音声コミュニケーションの質が改善され自身のQOL維持に繋がります。
この「聴力の低下」は、自身から相手に伝えることを避けることが多いことと、聞こえたふりも可能であるので、身体活動の低下「フレイル」と勘違いされやすく気が付きにくい特徴があるため注意が必要です。

ヒアリングフレイルの症状と進行

以下のような症状があれば「ヒアリングフレイル」かもしれません。

  • 話しかけても以前より反応しなくなった
  • 外出することがおっくうになった
  • 部屋に引きこもることが多くなった
  • 以前よりも怒りっぽくなった
  • 大好きだったテレビを急に見なくなった
  • 以前に比べ会話が難しくなった

認知機能の問題ではなく、ヒアリングフレイルにより、コミュニケーションしたくない、恥ずかしい、うまく言葉にできないという可能性があります。

難聴は見た目には分からないものですが、耳の健康チェックリストなどを使い確認をしましょう。

医療者や介護者は声が大きい場合が多いので音量を抑えて話すことで聞こえにくいことに気づくことが増えますので通常の声の音量で話をするなど心がけましょう。

[出典] ヒアリングフレイル啓発公式サイト

まとめ

いかがでしたか?聞こえのしくみや難聴について、また新しい概念「ヒアリングフレイル®」についても、ご紹介しました。
難聴にも種類や程度があります。どの程度の聞こえで、どのような対応が適切なのかを知ることが大切です。

Dキャリアプラスでは「ヒアリングフレイル®」提唱者の聴脳科学総合研究所 所長(保健医療学修士)中石 真一路さんにご登壇いただき、オンラインセミナーを開催することになりました!
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難聴と認知症の関係性とヒアリングフレイル予防についてや、高齢の難聴者の方の聴こえ方に関する知識と具体的な対策について、わかりやすく解説いたします。

講師紹介

研究を通じ感じたことは、難聴の方とのコミュニケーションをあきらめておられる医療・介護従事者の方もたくさんおられるものの、具体的な対応策を実施できないケースが多数あり、このような公演を全国で開催しています。
「難聴は認知症の最大のリスク要因」との報告もあり、認知症予防の観点からも「難聴の高齢者との意思疎通手法」は現場に従事するかたの必須の知識であると思います。
難聴と認知症の関係性とヒアリングフレイル予防についてや、高齢の難聴者の方の聴こえ方に関する知識と具体的な対策について、わかりやすく解説いたします。

講師:中石 真一路さん 
ユニバーサル・サウンドデザイン株式会社
聴脳科学総合研究所 所長(保健医療学修士)
山形県地域包括支援センター等協議会 アドバイザー

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