お口は栄養の入り口 歯と栄養の関係を知って全身疾患を予防しよう
こんにちは。Dキャリアプラス運営事務局です。
歯科に特化した食生活についてのアドバイスができるように、今回は「歯科×栄養」についてご紹介します。
基礎的な知識のおさらいをしましょう。
食事指導と栄養指導
こんな格言があります。
「You are what you eat」→「あなたはあなたが食べたものからできている」
人間の身体を形成している細胞の1つひとつは、日々の食事から栄養を取り込み作られています。
必要な栄養素が不足すると、さまざまな疾患の原因となります。何を食べているかはとても重要なことです。
そこで歯科衛生士による「食事指導」や「栄養指導」は重要な役割となります。
食に対する意識が高まれば、身体や口腔環境への意識の高まりへつながります。歯や歯周組織を強化する栄養素や、口腔環境の良化に必要な栄養素について復習しましょう。
適切な栄養摂取で予防と改善
歯周病
歯周組織はコラーゲンでできています。コラーゲンの摂取をおすすめしましょう。
注意:コラーゲンを含む食品は脂質が多く含まれている場合が多いため、摂り過ぎには注意が必要ということも併せてお伝えしましょう。
むし歯
むし歯予防に必要な栄養素はマグネシウム。
マグネシウム(カルシウムの吸収を助ける働き、カルシウムをコントロールする働き)の摂取をおすすめしましょう。また、むし歯予防には唾液の性状を整える必要もありますので、マグネシウムと合わせて亜鉛の摂取もおすすめしましょう。
インプラント周囲炎
インプラント周囲炎は、ビタミンとミネラルをバランスよく摂取することで予防できます。
患者さんには、長期保存ができるようにケアの仕方をお伝えし、それと併せて栄養指導も行いましょう。
「まごわやさしい」
「まごわやさしい」とは健康な歯を維持するだけではなく、健康的な食生活を送ることができる食材の頭文字です。
「ま」
豆類
「畑の肉」とも言われている大豆を筆頭に、豆類には良質なたんぱく質が豊富に含まれています。その他、カルシウムやマグネシウムも含まれているため、歯に良い食材と言えます。
「ご」
ごま
「ごま」には老化を進行させる抗酸化作用があります。
カルシウム、鉄分、リン、ビタミン類など、歯の健康を維持する役割を持つ栄養素が豊富に含まれています。
「わ」
「わ」は、わかめなどの“海藻類”を指します。
海藻には、カルシウムの他にマグネシウムなどのミネラル、ビタミンが同時に摂ることができます。また海藻には歯の再石灰化を促し、歯の健康の健康を維持する効果や、食物繊維が豊富に含まるため、歯周病にも効果があります。
「や」
「や」は、“野菜”を表しています。
野菜にはたくさんの種類がありますので、歯に良いとされている栄養素を多く摂取できる野菜をご紹介します。
・小松菜・チンゲン菜・切り干し大根(カルシウム)
・モロヘイヤ・ホウレンソウ・かぼちゃ・シソの葉・パセリ・バジル(ビタミンA)
・ブロッコリー・小松菜・ピーマン・じゃがいも(ビタミンC)
「さ」
「さ」は、“魚”を表しています。中でも「DHA」「EPA」などの良質な脂質やたんぱく質が豊富に含まれている「青魚」は特におすすめです。
「し」
「し」は、“しいたけ”をはじめとした「きのこ類」を指しています。
きのこ類にはビタミンDが含まれているため、カルシウムの吸収を助けてくれる働きと、強い骨を作る働きがあります。
「い」
「い」は、“芋類”を指しています。
食物繊維が豊富で、ビタミンCも含まれており、歯に良い栄養素がたくさん摂取することができます。ただし、焼き芋や干し芋などのねっとりした芋はむし歯の原因になりやすいため、患者さんへは栄養素と併せてむし歯への注意もしていきましょう。
まとめ
バランスの取れた食事を摂り、丈夫で健康な歯を保ち、全身疾患を予防しましょう。
特にご年配の方は、口腔機能が低下してくると「歯が悪くなる」→「噛めなくなる」→「食品の選択の幅が狭まる」→「栄養バランスが崩れる」このような流れでお口の健康状態がどんどん悪くなっていきます。
これを「オーラルフレイル」といいます。
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ここまで歯と栄養についてご紹介しました。
歯と栄養の知識を蓄えて患者さんに伝えることができると、患者さんからの信頼を得ることができます。信頼している歯科衛生士さんからの食事指導や栄養指導なら、患者さんも聞き入れやすいはずです。
お口は全身の健康状態を左右します。自分の患者さんの健康状態を守っていきましょう。
次回は、高齢者領域で使える歯科衛生士のための栄養学をご紹介します。
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